学校に行こう!〜1時間目〜




「はーい、今日はみんなに新しいお友達を紹介しまーす! みんなもよく知ってる、ボンゴレのジョット様の息子さんの、ムクロくんよ〜!」
「……」
 ジョットが言ったのとほぼ同じ紹介に、骸はうんざりした様子で自嘲気味に笑った。そうすると色素の薄い茶色の癖毛がふわふわ揺れる。もちろん幻覚だ。興味津々の目で見つめてくる骸と同世代の生徒達には、ジョットとよく似た容貌のどこにでもいそうな少年が映っているはずだ。
「はぁ…」
 それにしても、結局はこうなるのか。
「骸〜、頑張れ〜」
 そしてなぜ彼がここにいるのか。
「………」
 どうしよう、本気で逃げ出そうか。ボンゴレの面子だとかそんなものはこの際置いておいて、もっと他に保つべきものがある気がする。
「今日一日だけだけど、みんな仲良くしてね〜。はい、ムクロくんの席はあそこよ」
 骸が遠い目をしている間に、どうやら骸の席が決まったようだ。1番後ろの窓側。逃げやすくもあり、同時に外から監視されやすくもある、窓の隣。ついでに言うなら、なぜか父兄参観よろしく見守っている ジョットの目の前。
 今日一日だけとは言え、本当にどうしよう…。
 というか、仕事がたくさん残っていたはずなのに、こんなところで油を売っていていいのだろうか。
「はい、じゃあさっそく1時間目、国語からね」

 あぁ、始まってしまった。












「え、えーと…“その時です。物影から飛び出したウサギは猟師に言いました。『お願いします、どうか殺さないで。病気の子ウサギがいるのです。私は子ウサギのために薬を買わねばならないのです』すると優しい猟師は言いました。『それは可哀相に。安心しなさい、私は君を撃ちはしないよ。子ウサギ達はどこにいるんだい?』”」
 朗読を終えた生徒はホッとして着席した。
「はい、よく読めましたね。ではムクロくん、この時どうして猟師さんはウサギを撃つのをやめたのでしょう?」
「……」
「ム、ムクロくーん…?」
「骸、答えられないのか?」
(だっ、誰が…っ!)
 仕方なく骸はその場に立ち上がり、ため息を飲み込んで朗々と答えた。
「そんなの簡単です。人語を解するウサギは非常に希少価値が高く、貴族などに高値で売り払えるだろうことは容易に想像できます。故に、殺して皮と肉を売って端金を得るより、生きたまま捕らえた方が猟師にとって遥かに得になる。また、親ウサギが人語を解するならば、子ウサギもその可能性があるので、親ウサギを撃たないことで子ウサギの警戒心を和らげ、後ほど親同様捕獲し、その結果猟師は巨万の富を得られるからです」

 場が、静まり返った。

 きーんこーんかーんこーん…

「………」
「………」
「………」

 きーんこーんかーんこーん…

「………」
「………」
「………」

 誰一人、動けなかった。

















はい、ごめんなさい。でも、まだ続きます・・・。