ファッションモデルになろう!
「モ、モデルぅ!?」
昼休みの教室に素っ頓狂という言葉がぴったりの声が轟いた。
「そう! うちのホープの今期の力作をぜひ着てほしいの!!」
そう拳に力を込めて詰め寄るのは、並盛高校ファッションサークルの部長だ。なんでもプロ級の腕を持つ期待の新人が入ったとかで、今までも何度かモデルを頼まれたことがある。…獄寺や山本が。
ようは、彼らに(特に獄寺などは)直接頼んでも断られるので、綱吉というクッション材を挟んで依頼しているわけだ。獄寺と山本だけに限らず、子供服ならフゥ太、紳士服ならディーノ、ドレスならビアンキなどなど、綱吉に頼むだけで大抵のモデルは揃う。しかも綱吉自身は押しに弱いときた。ファッションサークル側としては万々歳だ。
「…今度は誰? もう雲雀さんとかやめてよ? こないだとか大変だったんだから…」
雲雀をリクエストされた時は血の気が引いたものだ。
そりゃ似合うと思うよ、チャイナ服。でも、それならまだ香港かどこかから映画スターでも拉致してくる方が余程楽だったろうに。
(…駄目だ、思い出すだけで胃が…!!)
そりゃもう大変だったのだ。
大変だった、の一言だけ覚えて他の記憶はまとめて消去したいくらいに。
「大丈夫大丈夫! 今回はゴシック系だから雲雀先輩じゃなくてーーー」
(ご、ごしっく…!?)
一瞬、嫌な予感が過ぎった。
いやいやないない、マジでやめて。
「ははは…じゃなくて?」
「六道先輩でーす!」
や、やっぱりぃぃぃぃぃぃ!!!
六道先輩ーーーもとい骸と言えば、ここ並盛高校では雲雀と並んで知らぬもののない有名人だった。ただひとつ雲雀と違うことと言えば、表の世と裏の世とで名の知れ渡り方が違うことか。
そして綱吉はそのどちらの顔も知っている稀な人物だった。
「…き、来ちゃった…」
骸はいつも放課後は屋上にいる。授業中は雲雀が屋上を占拠しているのだが、雲雀が見回りに出る今は骸の時間だ。なんでも、夕日を見るにはここが1番なんだとか。
「ど、どうしよう…」
屋上へ続く扉の前に立ったはいいが、ノブに手をかける勇気が出ない。昔からよく当たる直感は、この向こうに骸がーーー骸達がいることを伝えているのだが。
「………」
絶対、嫌がるし。
絶対、怒るし。
絶対、殴られるし。
場合によっては、刺されるし。
(やばいよな…どう考えたってやばい…)
ゴシック?似合うだろうね、そりゃ。だって中身もゴシック調の真っ黒だもん。
部長は妙に整った外見上の判断から骸を選んだのだろうが、なかなかいい勘をしている。全く喜ばしくなんてないけれど。
「みんなあいつの本性を知らないから…」
「おや、誰の本性ですか?」
「あいつに決まってんじゃん! あの腹黒パイナッーーー」
パイナップル。
その言葉は最後まで言えなかった。綱吉の目の前に微笑を浮かべたパイナップル様御本人がいたからだ。
「クフフ…」
「あ、あはっ」
「クフフフフ」
「あ、あはっ、あははっ」
「クハハハハ!」
「あはっ、あははははは!」
「ちょっと来なさい綱吉くん」
ぐいっ
冷えた声とともに腕を掴まれ、かなりの力で屋上に引きずり込まれた。
「ぎゃー! 違う違う! 今のナシ! 嘘! 冗談!」
朱く染まりつつある空のもとにずるずると情けない姿をさらされ、綱吉は必死の体でばたつくが、がっしりと腕を掴むその手には全く影響がない。そもそも体格に差があるし、力では敵わないのだ。
「おやおや、何が冗談なんです? もう一度言ってみなさい」
「い、嫌だっ! お前絶対キレるじゃん!」
「ということは、君にとってあの単語は僕を怒らせるような意味を持つものだということですか。どういう意味なんでしょうねぇ、まったく」
「どっちにしろ怒るのかよ!! っていうか離してーーー」
べちっ
突然手を離されて、顔面をしたたかに強打した。
(絶対わざとだ…!!)
「あ、ウサギちゃんらー!」
「……どうも」
「…ボス?」
屋上には骸の他に3人の生徒がたむろしていた。犬、千種、クロームのいつもの3人。そういったところも雲雀と違うところだ。
骸いわく、彼らは一応部下ということらしい。だが舎弟とかそういった類の連中とは一線を画しているという、綱吉にとっては理解しにくい関係だ。素直に仲間と言えばいいのに、骸はなぜかその単語を使いたがらない。
「あ、3人ともやっほー」
顔の痛みも忘れて手を振れば、骸は毒気を抜かれたようにため息をついてフェンスに寄り掛かった。
「……何がやっほーですか…。で? 何か用でも? 聞いてあげないこともないですよ」
「その前にその手に持ってる物をしまえよ! 軽やかに銃刀法違反だぞ」
ぶらぶらと何の気無しに振られている特徴的な三叉の剣は、骸の裏の顔の象徴とも言える。槍としても用いられるそれは、雲雀のトンファーと互角に張り合ったこともあるとんでもない凶器だ。
「どうぞお構いなく。手持ち無沙汰なもので」
「俺が構うっての!! …もう嫌だぁ…もう俺帰りたい…!」
本気で歎く綱吉に骸は呆れたように苦笑すると、剣をくるりと回してどこへともなく消した。
「ほら、ご要望通りにしてあげましたよ。見苦しい真似はやめて、さっさと用件を言いなさい」
実際は消した時同様いつだって出現させることができるので大して意味はないのだが、綱吉は見た目の変化だけで安心したらしい。よろよろと座り直して、ほっと息をついた。
「えっと、じゃあ単刀直入に…」
「ええ、どうぞ」
「骸さぁ、ファッションサークルのーーー」
「却下」
「………………ファッションモデーーー」
びゅっ
がっ
「却下と言ってるでしょうが」
一本の線のようにしか見えなかった何かを遅れながら目で追えば、案の定屋上のコンクリートの床に例の剣が突き立っていた。そして気付けば、綱吉の視界がほんの少し広がっていた。目にかかっていたはずの前髪の一房が、ない。
人の髪を勝手に切るなよ、とか、人の話は最後まで聞けよ、なんてツッコミが脳裏を過ぎってさっさと消えた。とてもじゃないが、言えない。
「なんで僕がそんなことをしなくちゃならないんです? 僕が表立って目立つようなことのできない立場だってご存知ですよね? 大体、サークルごときのイベントだ、どうせ無償でしょう。無償奉仕だなんて、僕とはもっとも掛け離れたことのひとつですよ」
この台詞を骸に夢見ている女子達に聞かせてやりたかった。いつも優雅に微笑む彼は、腹のうちは真っ黒のリアリストなのだ。実は少年院経験者だったり、実は現在も脱走中だったり、その割にいろいろアクティブだったりするのだ。
そういった裏事情を知っているのは綱吉と綱吉の周囲のごく一握りの人間だけ。それもこれも、綱吉の父親が人には言えない職業だからなのだが。
「いやまあ、そうだろうけど…。でもほら、表の顔としては親切丁寧、女性に優しい紳士気取ってるんだから、女の子の頼みは聞くべきなんじゃないの?」
「随分とハッキリ言いますね、綱吉くん。おや、こんなところにもう一本剣が…」
「ごめんなさい、骸さんは表裏ともに紳士です!」
どこからともなく三叉剣を取り出した骸を見て、綱吉は速攻頭を下げた。
だってアレ、コンクリートにすらぶっ刺さる代物だもん。
俺のすっからかんの頭なんてアルミ缶のごとくぺきょっとーーー駄目だ、グロ過ぎる。
黙って見ている3人の、同情と哀れみの視線が生暖かい。
「はいはい。ともかく、僕はやりませんからね」
「やりなよ」
突然の声に振り向けば、校舎に続く扉の上ーーー屋上よりもさらに高い位置から雲雀が見下ろしていた。その足元には、彼にしては珍しい黒いボストンバッグが置いてあった。
「……おやおや、いつの間に。馬鹿とナントカは高い所がお好きってやつですか」
骸はわずかに眉を寄せて、厭味ったらしい笑みを見せた。この二人の仲は壊滅的に悪い。それに関しても並盛高校で知らぬ者はない事実だった。
「別に。ここからだと君の立派なパイナップルがくっきりとーーー」
しゅっ
がきんっ
「黙りなさい」
「…そんなに嫌なら髪型変えなよね」
目にも止まらぬ速さで投げられたのは、やはり三叉剣だろう。綱吉には線にしか見えなかったが。そしてそれはいとも簡単に雲雀のトンファーに弾かれて落下した。
(…え、やばくない? 下にいる人に当たったらけっこースプラッタな気がするのは俺だけ?)
確認すべきかとも思ったが、怖くて見れない。
大丈夫だった、と思い込もう。
「…って言うか、どうしたんです? もう見回り終わったんですか?」
骸の疑問も尤もだ。いつもこの時間雲雀は並盛町の隅から隅まで見て回り、恐怖の取り締まりをしているはずなのだが。
「ちょっとそこで面白い話を耳にしてね」
そう言うと、雲雀がボストンバッグを綱吉の方へ蹴り飛ばした。
「わっ?」
ぼふんと受け取ると、それなりに重かった。しかし硬いわけでもない。
なんと言うか、真冬のコートとかそんな感じのーーー。
(真冬のコート…?)
ひょっとして、と思い当たり、急いでボストンバッグを開ける。
「や、やっぱり!」
予想通りの物に、綱吉は骸と雲雀とを交互に見つめた。
綱吉の視線を受けた雲雀はトンファーを両手に構えて出入口の前に飛び降り、さりげなく骸の退路を断った。それを見て、綱吉は意味深に頷いてみせる。
「は? なんなんです?」
二人の行動の意味がわからず、骸は首を傾げた。他の3人も不思議そうに顔を見合わせていた。
「………骸〜、これ、な〜んだ?」
背後に雲雀という最強の助っ人を得て、綱吉はにんまりと微笑んだ。その手に深い黒の重厚そうな服を掲げて。
そしてもうひとつ。手のひらサイズの、デジカメーーー。
「…!!」
ひくり、と骸の眉が神経質に震えた。嫌な予感と言うより、もはや確定事項だ。
察しのいい骸がちらりと素早く千種に目配せすれば、千種はすぐに意図を察し、ヘッジホッグと呼ばれるヨーヨーを構えた。それを見た犬は、わけがわからないながらも反射的に懐からカートリッジを取り出した。凪は首を傾げるばかりだったが。
「君、確かこの前僕にチャイナ服を着せるためにいろいろやってくれたよね」
「……そのお返し、というわけですか」
「そういうーーーことだよっ」
言うが早いか、雲雀は姿勢を低くして骸へと突っ込む。もちろんトンファーを振りかぶって本気の構えだ。気絶とか拘束とかじゃ済まなそうな勢いだが、気のせいだと思いたい。
とにかく綱吉もごてごてじゃらじゃらした服とデジカメを構えて骸に迫る。
「千種っ、ここは任せましたよっ!」
「はい」
しかし骸は千種の援護を頼りに身を翻した。屋上のフェンスを越えて、空中へーーー。
「げっ、ここ4階…!」
嘘ぉっ、と呻いてフェンスに駆け寄る綱吉とは対照的に、雲雀は舌打ちひとつして襲い来るヨーヨーを打ち落とした。そこへ更に犬がライオンチャンネルで襲い掛かる。
背後のバトルを無視しながら、綱吉はフェンスに身を乗り出して下を見下ろすが、良くも悪くもそこに骸の姿はなかった。
綱吉の隣に並んで見下ろしていたクロームが、あ、と小さく声をあげる。
その視線の先を追えば、綱吉達のすぐ下にある3階へ続く階段の窓が開いていた。
どうやら屋上から飛び降りて窓に逃げ込んだらしい。簡単そうに聞こえるが、それって結構すごいと思う。
「とことんなんでもやるヤツだよな…」
呆れながらも、綱吉は服をくるくると丸めて小脇に挟み、踵を返した。今逃がすわけにはいかない。
「あ、ボス…」
「ごめんクローム、またね!」
早口に叫ぶと、決着のつきつつある雲雀達の横をすり抜けて屋上を後にした。
「まったくなんなんですかね、あの張り切りようは…」
ぼやきながら骸は怪しまれない程度に急いで階段を下りた。とりあえず学校を出るべきだろう。さすがに隣町のアジトまでは追って来ないはずだ。
「見つけたぁ!!」
「なっ…!?」
しかしその希望は儚く散り、いつの間に先回りしたのか、荒い息を上げる綱吉が骸の前に立ちはだかった。
「ぜはぁっ、ぜはぁっ、逃がさない、ぜはぁっ、からなっ!」
「なんでそこまでするんですかっ」
「はぁっ、決まってる、はぁっはぁっ、だろ!? これ着てる骸を、はぁっ、誰より俺が、はぁっ、見てみたいのっ!」
「…………………っ」
それはまた、なんとも…。
骸は心底戸惑いつつ、しかし綱吉を正視することもできず、やはり踵を返して駆け出した。なんとなく頬が熱かった。
「待てぇぇぇ!!」
こういう時の綱吉はしつこい。いつにない速さで追ってくる綱吉に驚きながらも、骸は廊下を駆け抜ける。もう不審がられるだとか、今まで築いてきた表の顔の関係だとか気にしてはいられなかった。
(いつもそれだけ動ければダメツナだなんて言われないでしょうに…)
こういう時に限ってやたら頑張る綱吉は骸には理解不能だ。
「あっ! てめぇ骸っ!! この剣てめぇのだろっ!! 刺さりかけたぞこの野郎!!」
「お、ツナと追いかけっこ中なのなー」
なんとタイミングの悪いことかと骸は顔をしかめた。
正面奥の階段から現れたのは綱吉の友人(片方は忠犬とも言う)二人ーーー獄寺隼人と山本武だ。そして獄寺の手には先程骸が放った三叉剣が。その隣の山本の手にはバット(振るとなぜか刀になるびっくりアイテム)が握られていた。
「獄寺くん、山本! 骸捕まえて!!」
ああやっぱり、と骸は方向を変えて逃れる。
「了解です十代目!」
「おっけー!」
振り向くまでもなく、背後の足音が増えた。
そして男4人が全力疾走ともなるとだかだかとうるさいので、不審に思った生徒達が続々と廊下をのぞき見だした。放課後なのでそう多くはないものの、少なくもない。そしてその大半は骸が綱吉たち3人から逃げているという珍事態に眉をひそめていた。
(ああもう、僕の今までの苦労が台なしですか…)
元々そこまで執着はないが、こういう形だとやはり癪である。自然とため息がこぼれた。
「ーーーここまでだよ」
そこへ更に雲雀が現れた。廊下の先、つまりは骸の真正面に。最悪だ。
「ひ、雲雀恭弥…!!」
余程チャイナ服の件で恨まれていたらしい。若干赤く染まっているトンファーは骸をきっちりと狙っていた。
「……くっ」
後方には全身凶器の爆弾男に平成の野球侍、そして運動会の父親よろしくデジカメを構えた綱吉。前方には宿敵とも言える獰猛生物。
マズイ。さすがに4人を一度に相手にするほど骸は無謀にはなれなかった。
だが、
「〜〜〜まだですよっ」
こうなったら、と覚悟を決めて、廊下の脇にぽっかり開け放たれた窓枠を飛び越える。
ここは3階だ。ギリギリなんとかなる。
ーーーが。
「骸様!」
着地点に有り得ない光景があった。
「ク、クローム!?」
クロームが両手を広げてまるで骸を受け止める気でいるかのように待ち構えていたのだ。というか、彼女の性格的に、確実に受け止める気だ。
(それはさすがに無理ですよ!!)
しかしもう骸の身体は空中だ。今更どうしようもない。
「どきなさい、クローーーっ」
と、
がごぃんっ!!
どこからともなく飛んできたトンファーが骸を直撃した。トンファーの質量的には有り得ないくらいのその威力は、いとも簡単に骸の落下軌道を変えた。
「っ!!」
痛みに叫ぶ暇もないまま、骸はクロームの横の木の枝をボキボキ折りながら根本まで落ちた。
「む、骸様!!」
クロームの悲鳴が響き渡る中、骸の意識は闇に溶けた。
「え! 骸たち帰って来てるの!?」
あの日、骸が気絶している間に服を着替えさせて、意識が戻った瞬間を写真に納めてファッションサークル部長に渡したところ、それはもう激しく感謝された。
元々似合っていたこともあるが、眠りから醒める瞬間の、あのアンニュイな表情が堪らなかったとか。2色の瞳の色も、黒をベースにした衣装に程よく色を添えていて他にはない魅力を存分に引き立てていたのだ。
しかしあまりに良すぎたために部長はその写真をコンテストに出し、結果グランプリという骸にとっては全く望ましくない成果をあげてしまった。それはもう堂々と発表され、ファッション界に一大センセーションを巻き起こしたらしい。
そしてあれから一週間が経過していた。
あれだけ目立てば、骸たち4人の足が付くのは当然で。そうなれば当たり前のように強制送還が待っているのも、仕方のないことだった。
「そっか、帰れたんだ…。良かった…!」
素晴らしい物を拝めたのは良かったものの、まさかここまで大事になったあげく骸たちが連れ戻されるとは思ってもいなかったので、綱吉はずっと気に病んでいたのだ。
だから綱吉は浮かれに浮かれてスキップ混じりに屋上に向かい、いつかとは正反対の軽やかさでノブを回した。
「むっくろ〜ーーー!!??」
これ、なに。
意識が真っ白に塗り潰された。というか、実際視界が真っ白だ。
放課後の澄んだ青空以外はひたすらに白がうめつくしていた。
まるでテレビで見た結婚式場のような…。
がしっ
「……………は…?」
完全に思考が停止した綱吉の左右から手が伸びて、綱吉の両腕をがっちりと掴んだ。犬と千種だ。
「ようこそ、綱吉くん」
そして正面からは、一週間前に写真に納めた格好をそのまま真っ白にしたような姿の骸がにこにこしながら歩み寄って来た。その横にはクロームが真っ白い塊を手に寄り添っている。
真っ白い、塊。真っ白い、屋上。真っ白い、骸。
「………は?」
嫌な予感、だ。自分の直感は大体当たるので、予感と言うか予言、または警告だ。
すなわち、今すぐ逃げろーーー。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!! は、離してー!!」
しかし両脇をきっちりしっかり捕らえられてしまって足が浮くくらいなので、逃げるもクソもない。捕らえられた宇宙人よろしくぶら下がっているしか選択肢がなかった。
「クフフ。あなたのお父上が落ち込むあなたを気遣って裏から手を回して下さったんですよ。だからもう、いくら目立とうが関係ない」
綱吉の叫びなんて丸ごと無視して、骸は笑みを深めた。妙にいい笑顔だ。いっそ爽やかとも言える。
「それとこれ、次のブライダルファッションコンテストに出品予定の新作なんですって。力作ですよね〜。着てみたいですよね〜、綱吉くん?」
「う、嘘っ!? だ、だってそれドレスーーー」
「綱吉くんにきっと良く似合いますよ。それこそグランプリだって狙えちゃうくらいにはね…」
ぎらり、と右の夕焼けみたいな目が輝いた。
(根に持ってる! 確実に根に持ってるぅぅぅぅっ!!)
「クローム、やりなさい」
「いっ、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
放課後の学校に、綱吉の絶叫が響き渡った。
「骸様、この写真、どういたしますか?」
「…他の誰にも見せてはいけませんよ。僕だけの宝物、ということで」
無償奉仕は、性に合いませんからね。
反省点:あんまり骸ツナっぽくならなかった…。普通の骸ツナって難しいんですね。ちなみにこの話の骸さんは、孤児院出身の少年院暮らし中に脱走しました(笑)
目の色や文字は変わりませんが、幻術などの特殊能力はありません。でも槍は出せるというご都合主義の塊です。←私のこと
ついでに、本当のゴシックとは一般に言うゴシックとは違うようです。by.wikipedia
そこらへんはスルーの方向で!
2008.5.2