グイドと私とみんな
「ボス、いる?」
こんこんノックしたら、すぐに「どうぞー」って返って来た。ボスはノックの仕方で誰だかわかるんだって。すごいわ、ボス。
「いらっしゃい、クローム」
「おや、クローム」
ボスの部屋には、ボスはもちろん骸様もいらっしゃったわ。
ボスと骸様は大の仲良しなの。……って、骸様が言ってたわ。骸様が言うならそうなのね。羨ましいわ。
「雲雀恭弥からボスに伝言。今晩は行かないって」
「はは、まあ雲雀さんは来ないと思ってたから。わざわざありがと、クローム」
「まったく……サプライズの意味がないじゃありませんか、あの鳥頭」
サプライズ?
びっくり?
「今晩、何かあるの?」
「うん、まあね。でも、その時までのお楽しみだよ、クローム」
「もう少ししたら行きましょうか」
ボスも骸様もなんだか楽しそう。何があるのかしら。私も楽しみだわ。
日が沈みかけた頃、ボスと骸様に連れられて会議場に入ると、とってもぴかぴかしてた。
壁には金や銀のレースが揺れて、机には色とりどりのケーキとまるでクリスマスみたいな立派な料理が乗ってる。お肉もお野菜もどっさり盛り上がってて、スープはつるつるのお鍋の中で美味しそうに香って、隙間にはシャンパンがにょきにょき立ってた。あれってこの前キャバッローネからもらったすごく高いヤツじゃないかしら。
それと、机を囲むボンゴレの人達はやっぱり黒い服ばかりだけど、皆オシャレなネクタイをしててカッコよかった。ちょっと動きにくそうだけど、みんなニコニコしてる。
一体なんのパーティーかしら。
「クローム、あちらを」
骸様に言われて、ステージみたいに一段高くなってるところを見る。
カーテンみたいなだぼついた布が左右に分かれて、その真ん中から一際きらきらした人が出て来た。
すごく、すごく眩しい。でも目が離せない。だって、だって――
「グイド!」
白いスーツは見たことのない真っさらなもので、胸には赤い一輪の薔薇。手には一輪どころか数えるのも大変なくらいのたくさんの薔薇。何故だか小刻みに揺れているわ。グイドは髪をきちんとセットしてもらったのか、前髪がなくなっておでこが見えてるの。可愛いわ。
顔は真っ赤だし、くりくりした目をぐるぐる回して、すごく慌ててる。
「あ、あの、あのののっ!」
全然言えてないのも、可愛い。
「なぁに、グイド?」
「あのっ……こ、コレ!」
ばさり。
薔薇の花束が私の胸に飛び込んで来た。
これ、くれるの……?
「な、何かのお祝いってわけじゃないんだけど、あの……もらってくれる?」
どうしよう、嬉しいわ。でも、でもね、グイド。
「ごめんねグイド。私、こっちの薔薇が欲しいわ」
グイドの胸に顔を覗かせてた一輪の薔薇をとって、香りをかぐ。甘い薔薇の香りに混じって、グイドの匂いがするの。
「グイドのあったかい香りがする薔薇がいいの」
「っ……ク、クローム!」
グイドが薔薇の花束ごと抱きしめてくれた。たくさんの薔薇より、グイドの香りの方が安らぐわ。今、すごく安らぎを感じてる。
ひゅーひゅー!
ぴ〜ぅぃっ!
みんなから拍手や口笛(?)が贈られちゃった。意味はよくわからないけど、嬉しいわ。
そして一歩前に出たボスがシャンパングラスを高く掲げると、みんなもテーブルにあったグラスをとって同じようにしてた。
「さあ、若人の前進に限りない祝福を!」
「「「「「「祝福を!!」」」」」」
カンパーイ!
そんな明るい声に混じって、クラッカーの乾いた音が連続する。リズミカルで気持のいい音ね。
それに、飛び出したカラーテープのシャワーの中で、真っ白なグイドは誰より綺麗に見えたよ。
今日一日で、グイドのいろんな一面を知ることが出来たわ。
「あのね、グイド。私、あなたのことが知りたくていろんな人に聞いたの」
「えっ、何?」
「フフ、グイドは噛むのが好きで、揉まれるのが好きで、いじめのプロで、スジがいいところで、たまを握るのと振るのが上手いんでしょう?」
「……え゛!?」
ぶふぉっ!!
けほっ、げぐっ……!
フフフ、グイド、驚いてる。何故かボスも骸様も犬や千種やみんなもシャンパンを吹き出してる。すごいでしょ、私、グイドのことたくさん知ってるの。でもシャンパンはちょっともったいないね。
あと、雲雀恭弥からの珍しいアドバイスも実践するわ。
「私、グイドになら全部見せてもいい。私の全てを知ってほしいの」
「え゛ぇぇ!?」
ぷつんっ……
あら、何の音かしら。
それに、どうしてかしら、みんな顔が怖いわ。
なぜグイドを取り囲むの? 骸様? ボス?
「…………グイド。ちょっと男同士で腹わって話そうか、な?」
「十代目のお手を煩わせることはありません。ボムひとつで事足ります」
「男なら拳で語れ! そう、極限にな……」
「俺だって、やる時はやりますからね……!」
「グイド……スポーツマンになれると思ったんだが、見込み違いだったみたいだな」
「さいってーだびょん!」
「見損なった……」
「クフ、クフフフ。しつけが足りなかったようで。親代わりとしましては申し訳なくて申し訳なくて、お日様の下を歩けませんよ。少し、痛い目にあってみますか、グイド?」
「ひっ……ち、ちがっ――」
「「「「「「「「問答無用(だ、です、なのなー、ですよ、びょん、メンドい、他)!!!!」」」」」」」」
「ごかっ、誤解だってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ハイ、馬鹿やれて楽しかったです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました〜!
2008.11.6