グイドと私と雨の人




 グイドのことを考えながら窓の外を眺めていたら、中庭で雨の人が素振りしてるのが見えた。速くて速くて、最初と最後しか刀が見えないの。すごいわ。

「ん? お、クローム!」
「こんにちは、雨の人」

 気配にも敏感なのね。すぐに私に気が付いて手を振ってくれた。
 ボスの左腕だっていうこの人は、とても優しい。ボスも優しくて気さくで、たくさん見習いたい人だって言ってたの。すごくよくわかるわ。
 今も、修行中だったのに中断してこっちに来てくれた。優しい。

「どうした? ひとりなんて珍しいな」
「今、いろんな人にグイドのことを聞いてるの」
「グイド?」
「うん。何か知らない? 私、もっとグイドのことを知りたいの」
「ははっ、愛されてるなぁ、あいつ!」

 ちょっと、恥ずかしい。
 雨の人は、骸様いわく「嘘つきの僕には真っ直ぐ過ぎて気が合いません」なんだって。わかるようなわからないような……。骸様、私には嘘つきじゃないのに。
 不思議だわ。

「そうだなぁ……あ、こないだ久しぶりにキャッチボールしたくなってな、たまたま見かけたグイドを誘ったんだよ」
「キャッチボール?」
「ああ。球の投げ合いさ。あいつなかなか筋がいいんだぜ?」
「スジ……筋肉?」
「違う違う。あいつ、そんなに力ある方じゃないけど、初めてにしては球の握り方が上手いんだ」
「握り方?」
「ああ。腕の振り方も綺麗だし、結構野球に向いてると思うんだよなー」

 野球……。
 聞いたことはあるし、どんなものかも知っているけれど、実際に見たことはなかったわ。グイドが野球をやってるところ、見てみたいな……。

「私、見たい」
「クロームに言われちゃ、あいつ断れないさ。今度、みんなで一緒に野球しようぜ……て、思い出した、今晩みんなで集まるんだったな」
「……?」

 初めて聞いたわ。そうなのかしら。

「あ、ああー……やっちまった。なんでもねーや。んじゃ俺、修行に戻るな」
「……? ありがと」

 雨の人は苦笑してまた素振りを始めちゃった。さっきより更に速い気がするわ。
 すごい。
 きっと球を投げるのも速いのね。
 グイドはどうなのかしら。

 『グイドは球の握りも振りも上手くて、スジがいい』

 見てみたいな、グイドの球。
 フフ、わくわくしてきたわ。















2008.11.6