グイドと私と嵐の人
グイドを弟としてじゃなく男の子として見るようになってから、出張のお仕事が減ったみたい。たぶん、ボスが気を遣ってくれてるんだと思う。
グイドは「嬉しいけど……なんか……うー……っ」なんて唸ってた。なぜかしら。
不思議に思って理由を聞いたら、ボスが嫌いだから、なんて言っていたわ。
……ボスはいい人よ?
どうしてそんな風に思うのかしら。
グイドはたまによくわからない。もっとグイドのこと知りたいのに、あんまり教えてくれないから、知りたくてもわからないの。
ちょっと寂しい。
あ、嵐の人。
廊下の先に、いつも怖い顔のボスの右腕さんがいた。
ボスいわく、何でも知ってて頼りになる人で、本当はとても優しいんだって。確かにボスの前だとあの人は眼がきらきらして、尻尾を振る子犬みたいなのよね。
でも骸様は、「目障りな忠犬が……!」なんて言ってたわ。
忠犬って、いいこと……よね?
とにかく、グイドのこと、聞いてみようかしら。
「あの、嵐の人」
「ぁあ? ……あー、クロームか」
振り向いた顔はやっぱりちょっと怖かったけど、すぐに穏やかに……なろうとしてなりきれなかったみたい。ちょっと歪んでるわ。
「あの、グイドのことなんだけど――」
「あいつに何かされたのか!」
突然大きな声を出されて、びくってなった。
でもなんだか心配そうに私を上から下まで見て、「あいつ、クロームを傷付けやがったら……!」なんて拳を握ってフルフルしてる。なぜかしら。
「あの、何でもいいからグイドのことを知りたいの。私は私の前のグイドしか知らないから……」
「あ、あぁ、なんだ。そうだな……とりあえず、嫉妬深いな」
「嫉妬? なぜ?」
「あー……いや、気にすんな。でもお前からあいつに言ってやってくれよ。十代目に噛み付くなって」
「ボスに? グイド、ボスを噛んじゃうの?」
「いや、そうじゃなくて、だから――」
「獄寺くーん、ちょっといい?」
あ、ボスが呼んでる。
嵐の人はピンと背筋を伸ばして、眼をきらきらさせて、「今すぐ行きます十代目!」と走って行っちゃった。
これって、
とってこーい。
ワンワーン!
みたいなことかしら。
忠犬なのね。
とりあえず、ひとつグイドのことがわかったわ。
『ボスに噛み付くのが趣味』
少しグイドに近付けたかしら。フフ、なんだか嬉しい。
2008.11.6