07.会議小話
「で、まぁみんな知ってるだろうけど、霧の守護者に着任した六道骸だ」
会議室に入って挨拶もそこそこに、ボス自ら新しい幹部を紹介する。
「……」
にこやかなボスと一転して、骸は渋い顔をして物言いたげに他の守護者を見回す。しかし骸などより他の守護者4名の方がよほど物言いたげに口を半開きにして固まっていた。目が点とはこういうことを言うんだろうなぁ、とジョットはひとり感心(?)していた。
「……どうも。六道骸です」
渋面のまま一礼すると、さっさと空いている席へ座る。そんな骸の動きを4対の目がしっかりと追ってきた。
「えーと……うん、みんな驚くよなぁ、そりゃ」
つい昨日まで、皆の知る骸は10歳になるかならないかくらいの子供だったのだ。それがいきなり長身美形の姿で現れれば、誰だって驚く。ちゃんと元の姿を意識しているのか、面影はあるのが唯一の救いだろう。
「俺は子供の姿でいいって言ったんだけどさ」
ぽりぽりと頬をかいて、ジョットは苦笑した。
「って、そういう問題じゃないですよ!」
ようやく自分より年下のファミリーができると楽しみにしていた雷の守護者は、驚きと悔しさが入り交じったような複雑な表情で骸とボスとを交互に見た。
「なんだってこんなおっきくなっちゃってるんですか!?」
雷はぷるぷるしながら人差し指を骸に突き付ける。もっともだと言うように他の3名が頷いた。しかし、
「人を指差さないでくれます?」
不機嫌もあらわに骸が雷を睨めつける。
「ヒッ! すいません!」
雷はびくりと全身を震わせると、即座に手を引っ込めた。これではどちらが年上なのかわからない。
「まあまあ。で、何でそんなでかくなってんだ?」
雨が質問を引き継ぐ。聞きたいことは皆同じだ。
「霧は幻術が得意なんだ。だから今の姿も幻さ。本当の姿は皆も知っている通り、ちゃんと子供だよ」
『骸』以外の名前で初めて骸を呼びながら、なっ、と笑顔で骸を見る。
「まあ、そういうことです」
言いながら、机に用意されていた紅茶のカップに口をつける。その姿には何の不自然さもなく、見目麗しい骸にぴったりの光景だった。しかし当然カップを持つ手もその口も幻なのだ。ひょっとしたら、カップも幻かもしれない。
皆、骸の芸の細かさに驚きながら、霧の守護者に相応しいわけだと納得する。
「な、なら別に小っちゃいままでもいいじゃないですか!」
雷が諦めきれずにしつこく言い募る。しかし他の守護者もそう思ったらしく、うんうんと頷いていた。
「だよなぁ? いや、俺もそう思うんだけど、本人が嫌がってさ」
ちらっと骸を見れば、あちらもこちらを見ていたらしく、じとっとした目とかち合った。
「ま、まぁそんなわけだから――」
バタンっ
ジョットが会話をまとめようとしていたのを、会議室のドアの大きな音が遮った。
「……は? 君、なんでそんな格好なの。しかも何そのおめでたい頭」
集う視線を全く気にした風もなく堂々と入って来たのは、髪から服まで黒づくめの雲の守護者だった。
「おやおや、時間さえ忘れる鳥頭に答えても意味をなさないと思いますけどね」
「……新人教育がなってないんじゃないの? 先輩に対する――あぁ、年上でもあるね。とにかく、態度がなってないよ、ちびっ子」
親の仇を見るような殺人的な眼で見つめ合う2人に挟まれ、憐れな雷の守護者は涙目になっていた。
「あの時の決着、今ここでつけましょうか」
「望むところだよ」
「えっ嘘、ちょっ……待っ……!」
「おい、やめんか二人とも!」
「あぁぁ……また悩みのタネが増えやがった……!!」
「お前ら仲良いのな〜」
「ひぃぃぃぃ! お願いだから外でやってくださいよぉぉぉ!!」
「行きますよ!」
「行くよ!」
この日、ボンゴレファミリー禁止事項が一つ追加された。
ひとつ、雲と霧を同じ部屋にいれてはならない。
現代でも初代でも雲雀さんとは犬猿の仲だといい。そして似た者同士の同族嫌悪だとなおいい。みんな振り回されてるとさらに――うぐっ
2008.4.1
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